第一子が爆誕した
第一子がこの世に爆誕した。
子どもと同じ刻を過ごせる喜びに浸れるまでの物語を、此処にしるしておきたい。
Awake Eve.
声にならない痛みの様子を見たときが、始まりの合図だったかもしれない___。
7月、某、自動車で飛んで、罹りつけの産婦人科医へ。
医療的に陣痛と呼ぶにはまだ早く、おそらく前駆陣痛なるものだということで経過観察することに。
やうやう強くなりゆく腹際、厳密には尾骶骨らしかった。
当初は声にはならなかった声も、次第に痛みの強さに比例したものに変わっていく。
自分は仕事をしていたが、リビングから聞こえる声の付いた痛みは、並々ならぬプレッシャーを感じさせた。
そんなものだから、朝、夜、深夜と、初日は3回病院に足を運んだ。
お医者様「まだ子宮口は開いていませんね。前駆陣痛ですから、まだ慌てるような時間ではありません。」
ぼく「え”?これ以上強い痛みが来るんですか???」
妻と絶望のまなこを見合わせながら、帰路につく。
次の日は流石に心配ということもあり、妻が入院することとなった。
子どもはHello World!したがっている。
子宮口を目掛けて頭ドリルをしているが何故か開き具合が足りない。子宮と現世を隔てる門は、微微たる速度でしか開くことしかできないようである。
少なくとも、今宵に事態が急変する見込みは少ないとのこと。
足役は、これから佳境を迎える長い戦いに備えるために、帰陣した。
就寝する前に見た秒針はAM 4:00を指していた。
The Beginning.
助産師先生方からの御小言を、妻から代弁頂くところからスタート。 長丁場に対する休息作戦が不評だったらしく、なんかスマンナという不甲斐ない気持ちになった。作戦失敗だ。
前駆陣痛と呼ばれているものは(おそらく)陣痛並みになってきているが、例のゲートはまだ全然開いていない模様。 時が満ちたかのように、担当の産婦人科医先生から現状と術式の開示を頂戴した。
とどのつまり、カイザー手術を行使することになった。所謂、帝王切開である。
ちなみにカイザーは Caesarian いう単語で、カエサル とか シーザー とカタカナ語で呼び替えられるらしく、術名に関して個人的に胸が高まった。
このまま陣痛と戦い母体を疲弊させては、出産のときに注ぐ体力が削がれてしまい本末転倒である。限りあるHPの配分を最適化する必要もある。
執刀猶予の時間はまだ少しあり、足役の足軽は最終決戦に備えて一時帰宅する。
昼の補給に合わせて解凍していた元・冷凍ご飯や昨晩のオカズが、板台で待機している。もちろん戸締まりもしていない。
我が家大開放状態を閉じねばならぬ。
今日中に我が子がHello world!するという絵が、頭の中で少しだけ色づいた。
思い耽ながら、帰路に自動車を乗せた。(よもや 帰る のか 行く のかどちらの言葉が適切かは怪しい)。
分娩室に戻る。痛みを表現する声はどんどん力強さを増していった。
咽び泣くツマ、力無きオレ。
都市伝説だと思っていた、テニスボールを当てる作業をやってみる。
これがなかなか難儀なもので、突くべき秘孔が全くわからない!!!
ところが助産師大先生は一撃で ”きゅうしょにあたった!” を出してくる。
足役でしかない自分は、異なる意味で ”こうかはばつぐんだ!” を出してしまい、妻から聞いたこと無い嗚咽を食らう。面目ない。
無力な自分と対峙するのは久しく、オッサンになっても辛い。
そうこうしているうちに、手術室の扉が開き、先生方と妻が吸い込まれていった。
Summer is comming.
確定的に、自信がある。
我が子の産声だ、と心から理解できた。
手術は成功し、相見えた。
瞳と瞳を通じて視線がぶつかったとき、堰を切ったかのようにとめどなく感情が溢れた。
これは神秘。ゼロイチ。尊い。妻頑張った。長い道程だった。
これからまた ”新しい” が始まる。
遅れて出てきた、 ”ひんし” の母体と心の中でガッツリ握手、言葉は声に出した。
「よくやってくれた。ありがとう。」
胎児としての短くて長い人生が終わり、無事にこの世に産み落ちた。
今は足役からジョブチェンジをし、3時間おきにミルク生成Botとして足繁く働いている。千代の富士になるまで、飯を力強く求める生命力に感動するなどの日々が過ぎる。
本当に時が加速して、理解が追いつかない。
尊いフレームは、静止画や動画として切り取っていく自負を最近した。
そんなこんなで、暫くは ”父業” をします。
なので最近はカンファレンスや技術勉強会への足が遠退いていた訳であります。
Special Thanks.
このブログを書こうと思ったきっかけがある。
今は昔。マヂキチのズッ友の一人である shimabox 氏のブログを読み、感銘を抱いた。
一人の shimabox が父になるまでの短編の物語。
ツラを合わせて仕事も飯も食ったことがある人だからこそ、感情回路に流れ込んだ物がある。ソフトウェアエンジニアだからこそ、なんだろう、刺さる文章がよかったんだよな。
俺もしてみむとてするなり。ということでリスペクトと感謝を込めて、随筆してみた。
もう一つのきっかけが @Fendo181 氏の出産報告ブログである。
彼とはまだそこまで濃密な関係が築かれてはいないが、一方的に私淑している。
我が子と月齢が近いこともあり、勝手に親近感を沸かせ、バイブスを上げた。
大事なことを自分の言葉で残せる幸せを噛み締めながら、筆を置くことにする。