:ナイスレビュー: スタンプを押すと #FUN_ナイスレビュー チャンネルに貯まる文化が好き

Slackには Slack 用リアク字チャンネラー という機能がある。 スタンプが押された投稿を、指定チャンネルに自動的に転送してくれる、いわばスタンプ監視Bot🤖のような仕組みだ。

例えば、 👍 が押された投稿をまとめたい場合、 #👍good高評価ボタンチャンネル を作っておけば、誰かが 👍 を押したタイミングで、該当メッセージがそこへ流れてくる。

個人的には、Slackの中でも特にイチオシで好きな機能だ。

この仕組みを活用して運用しているのが #FUN_ナイスレビュー チャンネルである。

#FUN_ナイスレビュー チャンネル

Merge Request(GitHubだとPull Request)のコメントで、「良い」と思われたレビューコメントに :ナイスレビュー: スタンプが押されると、そのコメントが自動的にこのチャンネルに集まる。

  • 実装の意図が整理されているコメント
  • 説明が丁寧で読みやすいコメント
  • 代替案と理由がセットになっているコメント
  • 過去の運用や背景が添えられたコメント
  • 「なぜそうするのか」が一行で理解できるコメント

スタンプを押す人も様々だ。 通りすがりのエンジニアかもしれないし、熟練のメンバー、あるいは元エンジニアのマネージャーかもしれない。

いずれにせよ、そこに集まるのは 「良いレビュー」 だ。

良いレビューは良い。 しかし、自分が関与しないレビューは流れがちで、マージされてしまえば探しづらくなる。 良いレビュー良いので、只々消えてしまうには惜しいものが多い。

良いレビューが可視化されるSlackの日常

#FUN_ナイスレビュー を眺めると、とにかく学びが多い。 ナイスレビューが押されるだけの価値があるものばかりだ。

バージョンアップでdeprecatedになる記述へのコメントや、エラーハンドリングの議論など、実用的な技術知識が多く含まれている。 技術書には載らない 現場の知見 が蓄積されている、確かな感覚がある。

稀によく出てくる実装や設計背景が語られるコメントには、ADR(Architecture Decision Record)へのリンクが添えられていることもある。 過去の決断理由や当時のリスク判断が見えて、プロダクトの歴史が垣間見える瞬間だ。 こういう情報は、新参者にとっても大変ありがたいものである。

ときどき、昔同じチームだった仲間の名前で :ナイスレビュー: がついていると、思わず自分も便乗してスタンプを押したくなる。

そんな文化だ。

#FUN_ナイスレビュー チャンネルを眺める勉強会 が開催されたこともあるようだ。 それくらい、このチャンネルは組織に受け入れられている。

まとめ

この文化が良いと思っている理由は、正式な制度でも仕組みでもなく、 気づいたら続いているもの という点だ。

誰かが意図して、ちゃんと設計した仕組みではなく、ちょっといいレビューを見かけたときに「これ良いな」と思って押されたスタンプの積み重ねが、そのままひとつのチャンネルとして積み上がり、今では組織に馴染んでいる。

レビューは、ときに議論が盛り上がり、意見が衝突する事がある。 この文化があることで、ただの指摘や指導ではなく、組織としての知識や思考の記録として残っていく。

これからもSlackに :ナイスレビュー: が押され続け、 #FUN_ナイスレビュー チャンネルにぽつぽつとコメントが溜まっていくといい。

自分も :ナイスレビュー: にふさわしいレビューを心掛けたいと思う。

それをSlackの通知でふと受け取る。

  • 「この説明の仕方いいな」
  • 「この切り口は参考になる」

そんな学びが何気ない日常に溶けていることが、この文化の好きなところだ。 自然と背筋が伸びるし、またレビューを頑張ろうと思える。